今回の記事は実際の数字を用いて「売上目標」をいかに設定するかについてご説明しようと思います。
ごく当たり前のことなので、帳簿をしっかりつけている方やベテランセラーには「そうやね。」と思うくらいでしょう。
総じて言えるのは商売で必要なのは「小学生の算数」です。
算数をただきっちり積み上げていけば、自分の目標が現実的に理解できるのです。
難しい名称などは避けてなるべく単純に解説したいと思います。
今回は長いので2回に渡っての記事になります。
今ここ→eBay輸出での目標設定を明確にする方法(1)
次回→→eBay輸出での目標設定を明確にする方法(2)
とある架空のAさんの現在売上
架空の人物Aさんは現在、150品の出品数で毎月10品が売れているeBayセラーとして解説します。
- 1品単価(売価)=3000円
- 原価率30%、1品原価900円
- 扱い商品は中古で有在庫
- 仕入れは主に現地仕入れ
[Aさんの月の売上]
現在150品の総出品数で月10品が売れるなら10品×3000円で月3万円が売上です。
原価率30%なので、3万円×0.3で9000円が仕入原価です。
手数料はeBay+PayPalで多めにみて20%として3万円×0.2で6000円です。
梱包費は売上に対して約3%とみて3万円×0.2で1000円です。
交通費として2000円としておきます。
手元に残る利益は12000円 (30000-9000-6000-1000-2000)になります。
[Aさんの月の作業時間]
この現状を維持するには売れた10品分を仕入れて150品をキープすることになります。
これをずっと繰り返している架空のAさんの作業時間を見てみましょう。
*実際には売れ残りがあるので、こう上手くはいきませんが笑
10品仕入れるのに車で往復で2時間、現地の店での仕入れで3時間、計5時間。
検品、写真撮影、出品作業で1品15分で10品で150分=2時間半。
売れた際の梱包+発送作業で1品20分で200分=3時間20分。
その他、予備時間として1時間を足しておきましょう。
作業時間は合計で約12時間です。
月に6日、2時間作業してるイメージでしょうか。
時給換算すれば12000円÷12時間、時給1000円です。
これが「現在地」です。
現在地の自覚なしに目標を掲げる人が多いですが、目標10万と単純に掲げても、ほぼ100%達成できないでしょう。
現在地を正確に出して、そこから目標へはどうすればいけるのかがわかるのです。
みなさん、上記の例のように一度、自分の売上と作業を棚卸ししてみましょう。
イチえもんの予想ではブログを読んでいただいている方はこのくらいの売上の方が多いのではないか、と思います。
イチえもんはこのぐらいの売上の方はもう初心者ではなく、中級者だと思います。
自分自身で1万2千円稼ぐことができるのは「普通の」人から見たらびっくりなのです。
次は目標を10万円としたケースで考えていきましょう。
利益目標を10万円とするケース
◾️ 10万円の利益にはいくらの売上金額が必要か。
Aさんの現在の利益率は12000円÷30000円=40%です。
目標の利益額を現在の利益率で割り戻せば必要な売上金額が算出できます。
10万円の利益が目標だと計算は下記のようになります。
10万円÷0.4=25万円
つまり10万円の利益目標なら25万円の売上が必要です。
◾️ 25万円売上には何品の商品を売ればいいか。
Aさんの売上単価3000円なので計算式は
25万÷3000=82品
つまり25万円の売上には毎月82品を販売する必要があります。
◾️ 毎月82品販売するには何品の出品数が必要か。
まず、売上数÷出品数を「販売率」と名付けます。
Aさんの現在の総出品数が150品で毎月10品売れています。
販売率は10品÷150品=6.6%です。
なので目標販売数を現在の販売率で割り戻せば必要な総出品数が出せます。
82品÷0.066=1242品
つまり月に82個販売するには1242個の出品数が必要となります。
*販売率という考え方について
この販売率とはイチえもんの造語ですが「総出品数の中で何割の商品が毎月売れるのか」を表しています。
同じ人間が同じように出品していれば、販売率は平均化してきます。
◾️ 注意:利益率、売上単価、販売率の補正
総出品数を増やしていけば、
- 売れない商品も増えて「販売率」は下がります。
- 「売上単価」も低くなる傾向があります。
上記のことを考慮して目標出品数を少し上乗せしておいた方が確実性が増します。
今回は超簡略化して「考え方」のみをピックアップしてますので補正なしでいきます。
目標達成した場合のAさんの日常
Aさんが利益10万円を達成した後の日常を推測してみましょう。
[1242品達成時の仕入金額や経費など]
毎月25万円の売上で82品が売れていきます。
ストアは常時開店させているとして、82品÷30日で1日平均で3品が売れていきます。
毎月82品売れていくので毎月82品を仕入れて1242品をキープしています。
82品を補充で仕入れ、原価率30%で25万×0.3、毎月7万〜9万円くらいの仕入金額を目安としています。
総在庫金額は原価で100万くらいです。(1242品×1品原価900円)
手数料20%で25万×0.2、毎月5万円くらいが出ていきます。
梱包費は売上に対して3%で、25万×0.03、毎月5000円〜10000円くらいです。
クレーム返品率は0.5%として82品販売×0.005で1ヶ月に0.4人。つまり2、3ヶ月に1件のクレーム返品があります。
[1242品達成時の作業時間]
82品の仕入れ、検品、写真撮影、出品作業の流れを1品当たり30分と仮定し1品30分で82品で1230分=40時間。
売れた際の梱包+発送作業で1品20分で1640分=27時間。
合計で67時間の作業時間、時給換算だと約1300円。
そのほか、予備時間として10時間を設定。
合計で月77時間の作業時間。
月に77時間の作業だと、月20日働くと仮定して1日4時間の作業時間。
自分の数字で計算すること
「現在地」と「目標」を明確にイメージできましたでしょうか?
あくまで推測値での積み重ねの計算ですので、目標達成時の日常は現実的に達成した時とはかなり違うと思います。
しかし架空人物のAさんとしては自分の実績をもとに推測しているので、全く見当違いには映らないはずです。
「現在地」から「目標」に進む間に、現実の結果がわかりますから、その結果を持って「現在地」と「目標」を微調整していく必要があります。
この時点でAさんが本業の関係などで月に77時間の作業時間を捻出できそうになければ、この計画に無理があることになります。
この時点で1242品を保管する場所がなければ、この計画に無理があることになります。
単純に「目標は月収10万!!」と言っていても達成できないのは、最初から無理があるからですね。
当たり前ですが、原価率や販売率など全ての数値は扱う商品によって全く違ってきます。
売上金額と販売率が高くて利益率は低い、在庫回転の早さを意識する人も多いと思います。
イチえもんが上記で算出した数値は架空の設定ですので、
「考え方のみ」を参考にして計算する際には自分の数字を持って行ってくださいね。
今回は「現在地」と「目標」の設定でした。
次回は「現在地」から「目標」までの道のりの推測についてです。
それではまた〜
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